【サラリーマン養蜂】第3話 分蜂
【解説】
蜂の群
蜂は1匹で生きていくことはできず、たくさんの蜂が群を成して生活しています。
蜂の群は、女王蜂が1匹と、働きバチや雄バチ数万匹から成っています。
ミツバチの巣
ミツバチの巣箱の中には巣の枠が何枚か入っており、そこで生活しています。
この巣枠のことを「巣礎」といいます。
巣礎は養蜂家が季節や蜂の状態を確認しながら、枚数を増やしたり、減らしたりします。
また、巣箱自体も小さいものと大きいものがあったり、2段にできるようになっていたり、蜂の家の状態を管理してあげる必要があります。
分蜂する理由
蜂の群としての数はどうやって増えるのかについて説明します。
もともとある蜂の群が大きくなりすぎると、蜂たちが群を2つに分けようとします。
群が2つに分かれることを「分蜂」といいます。
巣に蜜が入りすぎて卵を産むスペースが無くなったり、巣礎の枚数が少なく巣箱が小さいと感じたりすると分蜂します。
分蜂するときは、まず、新しい女王蜂を自ら生み出します。
その後、群の半分の働きバチたちは元の巣箱に留まり、もう半分の働きバチと元いた女王蜂が新しい巣を目指して出ていきます。
種の存続をするという生き物として必然的な行動なのですが、分蜂はさせたくはありません。
分蜂させたくない理由
分蜂はできるだけしてほしくありません。
理由① 蜂の群が弱体化する
蜂の数が多いと群も強くなり、全滅する危険性が低くなります。
分蜂するとその群自体の蜂の数が半分になってしまいます。
外敵から群を守るためにも数は多いほうが有利です。
理由② 交尾が成功しないと卵が産めない
分蜂するときに新しく生まれた新女王蜂は交尾しておらず、卵を産むことができない状態です。
性成熟して交尾が成功するまでに約2〜3週間かかります。
時期にもよりますが、この期間があるだけで、蜜の収穫量が少なくなったり、その後の蜂の育ち方にも影響を及ぼします。
また、交尾が成功するとも限りません。
交尾に失敗すると、その群は働きバチを増やすことができないため、すぐに全滅してしまいます。
理由③ 分蜂して出ていった群は生存できない
日本ミツバチのようなほぼ野生で生きているミツバチであれば、人の手は借りずに生きてくことができます。
しかし、ほとんどの養蜂家はセイヨウミツバチを飼育しています。
このセイヨウミツバチは人が管理して世話をしてあげないと生きていくことができません。
そのため、分蜂してどこかへ行った群はすぐに全滅してしまいます。
分蜂させないためには
分蜂させないためには、蜂の状態をよく観察し把握しておくことが重要です。
季節によっても蜂が増えやすい/増えにくい時期があるので、季節や天候も含めて管理する必要があります。
巣や蜂の状態を見て、巣礎の枚数を調整したり、餌のあげたりします。
それでも、蜂たちは分蜂をしたがり、新しい女王蜂を生み出そうとします。
無数にある六角形の巣房の中で女王蜂が育つところを王台といいます。
その王台が作られていた場合、分蜂の危険があると判断します。
養蜂家はその王台を潰すことで新たな女王蜂が生まれることを阻止し、分蜂を防ぎます。
【よくある質問 Q&A】
どうやって巣礎の枚数を決めるの?
巣や蜂の状態を見て決めます
全部の巣礎に卵が産まれていたり、巣礎よりも蜂が多そうだったりすると1枚増やしてもいいかもしれません。
ただ、その時期によっては直ぐに巣礎を指さずに様子を見ることもあります。
経験と勘に頼る部分が多いです。
分蜂させずに群はどうやって増やすの?
人工的に女王蜂を作り出させ、群を分けます
春終わり〜夏にかけて、蜂が増えやすい時期があります。
その時期に、蜂たちに新しい女王蜂を作り出してもらい、働きバチたちをいくつかの巣箱に分けることで新たな群を作ります。
自然に分蜂するのではなく、養蜂家が管理した上で群を分けるということです。
この群の増やし方については、別の記事で詳しく説明したいと思います。